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2025 / 03 / 18  16:22

読書記録 色から考察

読書記録 色から考察

『むらさきのスカートの女』

今村夏子 朝日新聞出版

『むらさきのスカートの女』今村夏子 朝日新聞出版 読書記録

 

わたし=黄色のカーディガンの女が、彼女の近所に住んでいる『むらさきのスカートの女』をストーキングするかのように、つきまとい、私たち読者を先導し、物語を進行していく。

『むらさきのスカートの女』も『黄色のカーディガンの女』も、日本社会には彼女たちのような暮らし方をしている人はたくさん存在する。あまり人と話すことを好まず、できるだけ関わらないように、働くことを望む独身の女性たち。物語は暗いわけではなく、ユーモアが溢れている。彼女たちが、日々暗く過ごしているわけではない気がする。

 

『むらさきのスカートの女』は近所でも知れ渡る言わば変わり者。その『むらさきのスカートの女』をストーキングし、近づく『黄色のカーディガンの女』。2人ともよく似ている。2人が1人であるような感じさえする。

これも色からも伺える。黄色とむらさきはお互いを補い合う補色。

 

『むらさきのスカートの女』は風変わりで物語の冒頭のあたりは、誰ともできるだけ交わろうとしない。でも仕事はやらせればできる。意外なところもある。むらさきを人としたら、こんな人を想像してしまうかもしれない。

 

この物語を語る語り手は、『わたし』🟰『黄色のカーディガンの女』。黄色は(物語に)光をあてる、導く、説明する、先導する、そんな色彩心理がある。

この物語の中でも、わたし=黄色のカーディガンの女が私たち読者に語りかける語り手の役割をしている。まさに、黄色だ。このように、色からも読み取れるものがたくさんあった。

 

物語の最後は、『黄色のカーディガンの女』が『むらさきのスカートの女』になりかわったかのように終わった。最初は『むらさきのスカートの女』が表に出ていたのが、最後は『黄色のカーディガンの女』が表に出てくる。これも、むらさきと黄色の色の関係ともリンクして描かれているように思える。

 

今村夏子さんは、広島県出身の小説家さんです。広島は著名な小説家がたくさんいます。